なぜ国産のお墓は高い?国産墓石と中国産墓石の違いがわかる3つのポイント
現在、日本の約8割のお墓が外国産の石材で建てられたと言われています。
しかもそのほとんどが中国産の墓石です。
理由はシンプルに価格の差と言っていいでしょう。
国産は高い・・・
中国産は安い・・・
その通りです。なんとなくわかりますよね。
あなたも漠然と感じていると思います。
では、具体的に『国産墓石はなぜ高いのか』、『中国産墓石はなぜ安いのか』、わかりますか?
品質の違い?人件費の違い?
確かにそこも含まれます。
しかし食品や家電製品などと違い、墓石とは原石である鉱山からとれる、そもそも自然のものです。
その自然のものから採石された石に、国産と中国産でなにか違いがあるのでしょうか?
今回は、お墓づくりから霊園の管理運営をしている当社が、国産墓石と中国産墓石の違いを3つのポイントでわかりやすく解説していきます。
目次
国産墓石と中国産墓石の価格の差
本題に入る前に、そもそも国産墓石と中国産墓石では一体どれだけ価格の差があるのでしょうか。
消費者の購入価格相場をみていきましょう。ただし、国産墓石は時価になっていることが多いため相場にはかなり幅があります。
国産墓石の価格相場
- 庵治石:300万円~600万円(※時価)
庵治石(あじいし)とは、香川県高松市の庵治・牟礼地方で産出される御影石です。表面に浮き出るような斑(ふ)が特徴的で世界一高価な最高級墓石材として広く知られていて、日本でも西の横綱と呼ばれています。
- 本小松石:200万円~400万円(※時価)
本小松石(ほんこまついし)とは、神奈川県足柄下郡真鶴町で産出される安山岩です。本小松石の特徴は、気候や温度によって石の表情が変わり、年月を経ることによって風合いが増すところにあります。庵治石と同じく本小松石は、東の横綱と呼ばれています。
- 大島石:250万円~500万円(※時価)
大島石(おおしまいし)は愛媛県今治市沖の大島で産出される御影石です。大島石の最大の特徴は、経年劣化が起きにくいことです。むしろ、時が経つにつれて青味が強く感じられ、一層深みのある風合いになります。
- 万成石:150万円〜350万円(※時価)
万成石(まんなりいし)とは、岡山県岡山市北区の万成または矢坂地域から産出される御影石です。日本の銘石のひとつとして東日本の本小松石、西日本の庵治石と共にブランド化された万成石は、桜色の美しさから、桜御影と呼ばれ、近年でも需要は非常に高い国産の石材です。
中国産墓石の価格相場
- G623:50万円〜100万円
G623は中国福建省で産出される御影石です。白系で大きな石目が特徴で、流通量が多く安価なことから日本で全国的に人気があります。しかし水を吸いやすい点に注意が必要です。
- G654:60万円〜120万円
G654は中国福建省で産出される御影石です。グレー系の落ち着いた印象を受ける色合いで、暗色系のなかでは一番手頃な価格帯の石材です。しかし色ムラや玉スジなどが出る場合もあるため注意が必要です。
- G663:70万円〜140万円
G663は中国福建省で産出される御影石です。明るく鮮やかな桜色をしていて、女性に人気があります。洋型墓石やデザイン墓石に使用されることが多いです。
- 北大青:80万円〜160万円
北大青(ほくだいあお)は、中国山西省で産出される御影石です。黒地に白い模様が入った石目で、比較的品質も安定しているため、関東や東北地方でとても人気があります。
ご覧いただいたように、国産墓石と中国産墓石の金額は2〜10倍以上になります。さらに国産墓石は時価のため最終的に20倍にもなることもあります。
では次に、この記事の本題である、なぜ国産墓石は高いのか?なぜここまで差が出るのか?を解説していきます。
国産墓石のココが違う!3つのポイント
ポイント.1 採石量が違う
単純な話、石のとれる量が違います。
中国では大量にとれるから安い、国内ではあまりとれないから高い。
需要と供給の、バランスの問題です。
1つの石種でも中国と日本では年間採石量が100倍以上の差があるものもあります。
先ほどもお話ししましたが、墓石に使用されている石は全て自然のものです。
広大な土地と資源に恵まれた中国と、残り限られた資源の中で供給する日本とでは、品質以上の付加価値、つまり希少価値が付いてしまっているということです。
国産墓石が時価取引をしている大きな要因といえるでしょう。
しかし、実はこの差はそこまで大きくありません。
確かに年々採石量は減り、価格高騰の要因の一つですが、近年では採石技術も向上してそれに伴うコストも削減できているからです。
ポイント.2 歩留まり率が違う
国内加工の歩留まり率平均10%以下で、最高級の品種であれば1%〜3%と、極めて低いです。
- 歩留まり率(ぶどまりりつ)とは、「原料(素材)の投入量から、実際に得られた製品生産数(量)比率」のことです。
つまり、鉱山から採石した巨大な原石のなかで、実際のお墓に使用されるのはわずか3%ということです。
国内加工ではこの歩留まり率の水準が高いため、その石が持つ最高の部分だけを使用し、その美しさを毎回引き出すことができます。
一方、中国加工の歩留まり率は10%〜20%です。
これは決して水準が低いわけではないですが、中国加工の場合、「大前提にコストかけられない」という理由があるため多少の色ムラなどがあっても、製品といて使用せざるを得ないのが現実です。
ポイント.3 加工技術が違う
国産と中国産との違いで一番大きなところといっても過言ではありません。
国内加工の場合はその石の専属の工場があり、さらにその石の専属の職人が加工に携わっていることが多く、石種のことを熟知したプロフェッショナルが丹精込めて加工していきます。
石材には石目(いしめ)といわれる、粒子の流れがあります。採掘(さいくつ)や切削(せっさく)工程の中で、経験豊富な職人が石目を見分け、切り出す角度や方向を選別していきます。石目に合った切削をおこなった石材はきめ細かな粒子が均一に表面全体に現れます。
さらに研磨の工程では、白みかげ石は8工程、黒みかげ石では9工程以上磨き上げていきます。
なかには石の箇所によって研磨がもっと必要になる場合も、その石の輝きが出るまで研磨工程をおこないます。
ここが中国加工と大きな違いです。
日本人は自分の仕事に誇りをもち『良いものを提供する』という精神があるため、たとえ作業工程が増えようとも常に完璧なものを目指して仕事をします。
しかし中国ではそうはいきません。あくまで仕事は仕事です。日本人のような『良いものをつくる』精神ではなく、『課せられた工程を効率よくこなす』精神が多いといえます。実際、加工工程や、加工技術は向上していますが、最後のツメが甘いというか、なんというか・・・これも日本側からコスト削減を要求している結果ですが・・・
その行き過ぎたコスト削減のせいで、キズモノの墓石に薬品(ニトロベンゼンなど)を塗って隠したり、研磨工程を減らしバフでごまかしたりなど、悪質な工場もあり(近年では減少していますが)、粗悪な商品が出回り、最終的にお客様にシワ寄せがきてしまうこともあります。
このような中国加工は素人が見てもカンタンにわかるほど粗悪なものもあれば、プロでも見分けがつかないほどの、ごまかし上手だったりします。
しかしあくまで一部の悪質業者であって日本の善良な石材店であればこのようなことはありません。
先ほども言いましたが中国での加工技術はここ数年でかなり高度になり、ごまかしなしで、見分けがつかないほど高品質になってきているのも事実です。
メリット・デメリット
ではここで、国産墓石と中国産墓石の違いをわかりやすくメリットとデメリットで分けてみましょう。
国産墓石のメリット・デメリット
メリット
- 経年変化の少ない石が多い
- 丁場を実際に見ることができる。
- 日本の職人による高品質の加工
- 故郷の石を選ぶことができる
デメリット
- 価格が高い
- 時価による値段への不信感がある
- 品質と無関係な付加価値がつく
中国産墓石のメリット・デメリット
メリット
- 比較的安価なものも多い
- 石の種類が多い
- カラーバリエーションが豊富
- 品質と価格が正比例している
デメリット
- 経年変化がある石が多い
- 中国加工では技術が劣る
- 外国産だからという漠然とした不安感が残る
まとめ
いかがでしたか。
国産墓石はなぜ高いのか、その違いを、理解していただけたと思います。
日本の加工業や生産業などは『良いものをつくる』という精神を持っています。
自分が納得するものをつくりお客様に提供する。このような日本のモノづくり精神は世界一です。
あなたも日本の最高級石材を、日本の最高品質の加工技術でお墓を建ててみませんか?
その違いは一目瞭然です。
- 採石量の減少による希少性
- 高水準の歩留まり率で最高の美しさ
- 世界に誇る加工技術
お墓とは、車や家電製品とは違い、そう何度も買い換えるものではありません。50年、100年先と代々受け継いでいく大切なものです。
価格ばかりに目を取られてお墓として本来の役割を忘れてはいけません。
あなたのお墓が、子供や孫、さらにその先もずっと愛され続けるお墓でありますように。
最後までお読みいただきありがとうございました。
(株)太平洋福祉はお墓づくりから霊園の管理運営をおこなうお墓のスペシャリストです。お墓のことならなんでもご相談ください。