墓じまいしたい人必見!改葬の具体的な手続きと費用をお墓のプロが徹底解説
改葬したいけど手続きがよくわからない…
墓じまいの費用はどのくらいするか不安…
とお悩みではありませんか?
厚生省の調査では2016年墓じまい(改葬)した人の数は、約9万人にものぼるという結果が出ました。
年々、増加傾向にある墓じまい。しかし、一言で『墓じまい』といっても決して簡単なことではありません。
面倒な行政手続きや手順、不透明な費用など頭を抱える問題はたくさんあります。
この記事では、そんな悩みを持つあなたのために具体的な手続きと具体的な費用をわかりやすく徹底解説していきます。
当社は、お墓づくりから霊園の開発・管理運営をおこなっているお墓のスペシャリストです。
目次
そもそも墓じまいってなに?
墓じまいとは、今あるお墓を終う(しまう)=「墓終い」といいます。
お墓からご先祖さまのご遺骨を取り出し、墓石を処分、撤去して、元の更地の状態に戻すまでおこないます。
お墓は基本的に厚生労働省が定める墓埋法(墓地、埋葬に関する法律)に基づいて管理されているため、ご自身で勝手にお墓を撤去したり、中のご遺骨を取り出したりすることはできません。
そのため、改葬や墓じまいなどはもちろん、納骨や散骨まで、この法律にそった方法と手順でおこなわなければいけません。
では、その方法について順を追ってご説明していきます。
必ず最初にするべきこと
一言で、「事前に相談する」です。これは、必ずおこなってください。
この「事前に相談する」が、これからご紹介する手順のなかで一番大切な部分といっても過言ではありません。
なぜなら、事前に相談をするかしないかによって、のちにトラブルを引き起こしてしまう可能性があるからです。
では、具体的に「誰に」、「何を」相談すればよいのでしょうか?
ご家族や親せきに相談
ご家族やご親戚に事前に相談しましょう。
お墓とは長い年月、先祖代々受け継いで今に至っています。そのお墓に対しての想いや考え方は、あなたとご親戚との間ではズレがあるかもしれません。
ご親戚の方も、墓じまいに賛成してくれるかもしれませんが、反対に今のお墓を大切に守っていってほしいと考えている方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、あなたの一人だけの考えで決断してしまったせいで、あとで親戚とトラブルになってしまった、なんてことになりかねません。
必ず事前に『墓じまいしたい旨』と、『なぜ墓じまいをしたいのか』、『墓じまいした後どうしたいのか』、あなたのお考えを伝えておきましょう。
些細なことかもしれませんが、こういったことで親族間でのトラブルを未然に防ぐことができます。
管理者に相談
管理者とはあなたのお墓がある寺院や霊園です。管理者にも必ず事前に相談してください。
なんの相談や報告もなしに書類上の手続きだけで進められては、先方も気持ちのいいものではありませんよね。
先ほども言いましたが、墓じまいはご自身で勝手に行うことは出来ません。
管理者の承諾と協力が必要になってきます。
そうした些細なことがきっかけで、
高額な費用を請求された…
墓じまいの手続きに応じてくれない…
墓じまいできなくなった…
このようなトラブルを避けるためには管理者にも同様に『なぜ墓じまいしたいのか』『墓じまいした後どうしたいのか』
そして、長年、あなたのご先祖様のお墓を大切にお守りして頂いた感謝の言葉も添えて、事前にお話ししておきましょう。できれば電話やメールではなく、直接伺ったほうが良いでしょう。
新しい埋葬先を探す
ご親戚や管理者の承諾を得られたら、次に、お墓のなかのご遺骨をどこに移すかを決める必要があります。
なぜなら、ご遺骨とは「新しい埋葬先が決まっていないと、取り出すことができない」からです。
具体的に、『墓所使用承認証』もしくは『受け入れ証明書』が必要になります。
これは、新しい埋葬先を購入(申し込み)すると発行してくれるもので、この書類がないと手続き上、墓じまいや改葬はできません。
なので、新しい埋葬先を探してさらに、購入(申し込み)する必要があるということです。
役所の許可を得る
お墓のお引越しをするには、役所の許可が必要になります。
そして役所から許可を得ると、『改葬許可書』が発行されます。
この、改葬許可証を取得しなければ、たとえ自分のご先祖様のお墓だからといっても、勝手にどこか別の場所へ移すと違法行為になります。
では、この改葬許可書を取得する方法をみていきましょう。
改葬許可申請書を取得
今、改葬を考えているお墓を仮に「A墓地」とします。この「A墓地」の地域を管轄いている市町村役場に問い合わせて、『改葬許可申請書』を取得しましょう。
改葬許可申請書は郵送やFAX、ホームページからなど簡単に取得できます。
ちなみに下は神奈川県川崎市と東京都町田市の改葬許可申請書です。
いずれも各役所のホームページからダウンロードできます。
- 東京都町田市:改葬許可申請書/記入例
- 神奈川県川崎市:改葬許可申請書/記入例
ご覧のように、各市町村役場によって指定書類があるため、書式がそれぞれ違います。
なので、必ず『A墓地』管轄の役所から取得してください。
取得した改葬許可申請書にご自身で必要事項を記入していきます。
『A墓地』のサインや印鑑も必要ですし、新しい埋葬先の名前や情報も記入する必要がありますので抜かりのないよう確認しておきましょう。
改葬許可証を取得
必要事項を記入した改葬許可申請書を、『A墓地』管轄の役所に提出して『改葬許可書』を取得しましょう。
改葬許可証はご遺骨1体につき1通必要ですので注意してください。
申請後は当日すぐに発行されることもありますし、数日かかることもあります。各役所によってまちまちのようです。
以上で役所の手続きは完了です。
お墓からご遺骨を取り出す
管理者立ち合いのもと、お墓からご遺骨を取り出します。
その際に、お坊さんに閉眼供養(へいがんくよう)をしていただくのが一般的です。
閉眼供養とは、墓石に宿っている仏様の魂を抜き取るという意味を持つ儀式のこと。
そうすることで、お墓をただの石の状態に戻すことができますので、その後の墓石の撤去工事や処分などをおこなう際、心情的にもお楽になるかと思います。
閉眼供養は、寺院墓地の方の場合そこのお坊さんにお願いできますが、民間霊園や公営霊園の方の場合はお坊さんを手配する必要があります。
墓石の撤去工事をおこなう
ご遺骨を取り出した次は墓石を撤去してお土地をもとの更地の状態に戻して返還します。
撤去工事は基本的に管理者がおこないます。厳密にいうと、管理者の定める石材店です。
撤去工事にはユンボやクレーンなどといった重機が使用されるため、他の方のお墓や施設の破損を未然に防ぐという意味合いと、そういった事故が起こった際の対処などを考えると管理者にお願いするのが良いでしょう。
新しいお墓に埋葬する
先ほど取り出した『ご遺骨』と、『墓所使用承認書』、『改葬許可書』、を新しい埋葬先の管理者に提出して、お墓に埋葬します。
このときに、開眼供養(かいげんくよう)をおこなうのが一般的です。
開眼供養とは、お墓や仏壇、位牌などが完成したときにおこなう魂入れの儀式です。
埋葬の日時を先に予約して管理者の立ち合いのもと埋葬します。お坊さんの手配やご親族のご都合など事前に確認しておきましょう。
以上が墓じまいの手続きです。
墓じまいと改葬にかかる具体的な費用
では、実際に墓じまいをする際には、どのような名目でいくらくらい費用がかかるのか具体的な金額と内訳をみていきましょう。
お墓の撤去費用
工事費用:10万円~50万円
撤去・解体工事は基本的に管理者(霊園、寺院)側でおこないます。費用は墓石の大きさや場所、重機の搬入が可能かなどによって異なります。事前に見積もりを依頼して置きましょう。
ちなみに関東での相場は、墓所の大きさ1㎡=10万円です。
例えば、3㎡の方の場合のお墓の撤去費用は約30万円ということです。
ただしこれはあくまで目安ですので、必ず現場を確認してもらったうえで見積りを依頼してください。
新しいお墓の費用
一般墓:150万円~200万円
樹木葬:50万円~120万円
納骨堂:70万円~150万円
共同墓:10万円~50万円
関東での購入価格の相場です。
- 一般墓とは
基本的に承継者を必要とするお墓です。現代でも最も多く利用されています。 - 樹木葬とは
従来のお墓(墓石)ではなく、樹木を墓標としたお墓です。一般的に合葬型が多く、毎年利用者が増え続けています。 - 納骨堂とは
いわゆるロッカー式などと呼ばれているお墓です。屋内での管理が一般的で駅前など立地条件に優れたところが多い傾向にあります。 - 共同墓とは
個別のお墓ではなく、共同で合葬供養するお墓です。永代供養墓や合祀墓などもこの部類になります。比較的値段も安いため墓じまいした後に共同墓へ移す方が多いといえます。
改葬手続きに必要な公的書類
改葬許可申請書:0円
改葬許可証:0円~500円
基本的には費用はかからないところが多いですが、各市町村役場によってしくみは異なりますので確認しておきましょう。
お布施の費用
閉眼供養(へいがんくよう):1万円~5万円
開眼供養(かいげんくよう):1万円~5万円
お布施はご遺骨を取り出すときの閉眼供養(へいがんくよう)と新たに納めるときの開眼供養(かいげんくよう)の2回あります。
カロートの開閉作業費用
カロートの開閉費用1回:1万円~5万円
- カロートとは
お墓のなかの納骨スペースのことです。墓じまいや改葬をする際には、ご遺骨を出し入れするため、カロートの開閉作業が必要になります。
墓じまい時の取り出すときと、新しく用意したお墓へ埋葬するときの2回、費用がかかります。
ご遺骨の移動費用
郵送費用(ゆうパック):800円~2000円
改葬を行う際、現地から自宅までご遺骨を持ってこなければいけません。
もちろんご自身の手で運ぶ場合、費用はかかりませんが、郵送することもできます。
場合によっては必要な費用
離檀料:10万円~20万円
寺院墓地で檀家になっている場合には、離檀料と呼ばれる費用が必要になることがあります。
- 離檀料とは
長年お世話になった寺院に対して、感謝の気持ちを表すためのお布施です。一回のご法要で支払うお布施の2~3倍程度が相場です。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、墓じまいや改葬の具体的な手続きと、具体的な費用についてご説明していきました。
- 必ず事前に寺院や親族に相談する
- 墓じまいには法律上、決められた手続きを行う必要がある
- 墓石の撤去費用だけではなく、埋葬費用やお布施などにも費用が掛かる
そして重要なのが、このように具体的な手順や費用を知っておくということです。
お墓に関する知識を事前に身に着けておくことで、焦ることなくトラブルを回避することができます。
あなたもこの記事を参考にして、気持ちのいい墓じまいをしましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
(株)太平洋福祉はお墓づくりから霊園の管理運営までおこなうお墓のスペシャリストです。お墓のことならなんでもご相談ください。