知らない人は後悔する?樹木葬の実態とメリット・デメリット
いきなりですが、あなたに質問です。
樹木葬って何だと思いますか?
ご家族やご友人に「樹木葬ってなに?」って聞かれたらあなたはどうお答えしますか?
少し考えてみてください。後ほど解説いたします。
この記事では、お墓づくりから霊園の管理運営までおこなう当社が、近年話題の「樹木葬」について、あまり世間では語られない樹木葬の実態や、知っておかないとあとで後悔してしまう情報、そして樹木葬のメリットとデメリットを分かりやすく解説していきます。
目次
樹木葬の実態
先ほどの「樹木葬ってなに?」この質問であなたはなにを思い浮かべましたか?
- 1本の樹木の下、土に眠っている・・・
- 広大な自然の中、山林の土に眠っている・・・
- ガーデニングに囲まれた墓石の中で眠っている・・・
- ひとりに対し1本ずつ個別に樹木が植えられている・・・
- 1本の樹木の前に墓石を建ててそのお墓の中で眠っている・・・
あなたが思い浮かべた樹木葬は、この中のどれに当てはまりましたか?
もしくはどれにも当てはまっていない方もいらっしゃるかもしれません。
しかし答えは、すべて正解です。すべて樹木葬です。
ん?どういうこと?って思いますよね。
実は、樹木葬は定義や規定があいまいなんです。
なので正直、我々専門家でも一目見ただけで「これは樹木葬で、これは樹木葬じゃない!」と、言い切ることは難しいです。
では、そのあいまいな定義についてご説明いたします。
樹木葬の定義とは
実際に詳しく調べてみると、
- 墓石の代わりに樹木や草花を墓標とするお墓
- 散骨ではない
・・・これだけでした。これだけで樹木葬になります。
極端に言えば、どんな木でも、どんな花でも、土の中だろうと、墓石の中だろうと、合葬型だろうと、ロッカー式だろうと、埋葬が許可されている場所(墓地)であれば「樹木葬」として認められるということです。
要するに、「樹木葬」とは単なる呼称に過ぎず、形状や埋蔵方法は各霊園やお寺によってそれぞれ異なる管理をいているといえます。
なぜ、このようにあいまいで統一性がないのかというと、樹木葬自体ができてまだ新しい供養方法だからと言えるでしょう。
近年、核家族化が進み、お墓に対する価値観も変わってきています。それに伴いここ数年で樹木葬だけではなく次々と新しいタイプのお墓ができており、従来の墓埋法(墓地埋葬に関する法律)では対応しきれなくなっているということです。
ここで最初の質問の「樹木葬とは何ですか?」に答えられますか?
答えられないですよね。
しいていうなら「あいまいなもの」ということでしょうか。
しかし、この「あいまいなもの」ということをしっかりと理解しておくことが大切です。
なぜなら、このあいまいさが樹木葬の最大のメリットでもあるからです。
実は自然に還らない?
樹木葬は世間一般的には「自然に還る」というイメージが強いのではないでしょうか?しかし1000℃近くの高温で焼骨されたご遺骨は、ほとんどはカルシウム成分しか残らないため水にも土にも分解せれにくく、実際には樹木の栄養分にもなりません。
「自然に還る」というのはあくまで概念的なものであって、化学的な話ではありません。
知っておくべき樹木葬の埋蔵方法
樹木葬でもっとも注意して知っておくべき点はこの埋蔵方法です。
どのような方法かというと、ほとんどがこの2つのタイプに分けられます。
「骨壷が最初から残らないタイプ」と「骨壷が何年間か残るタイプ」の2点です。
この2つを理解しておかないと「買ってから後悔した」なんてことになってしまいます。
ではいったいどのような埋蔵方法なのか見ていきましょう。
- 骨壷が最初から残らないタイプ
納骨する時にご遺骨を布袋や別容器移してから埋蔵するタイプと、他のご遺骨と一緒に合祀するタイプがあります。どちらのタイプも一度埋蔵してしまうとご遺骨を取り出すことはできません。つまり将来的に子供や孫が「家族のお墓を建てたい」と思っても、樹木葬に入っているご遺骨を取り出すことができないということです。
承継者がいる方や最初から他のご遺骨と一緒に合葬されることに抵抗がある方は、こういった埋葬方法をしっかりと理解しておく必要があります。
- 骨壷が何年間か残るタイプ
このタイプの埋蔵方法は従来のお墓と同じで骨壷ごと納骨します。そして納骨後、契約期間(27年や33年など)の期限がくると合祀されるというものです。
このタイプは、契約期間内であればご遺骨を取り出すことができるという点がメリットです。最終的には合祀されてしまいますが、それまでの期間内に別のお墓に移したり(改葬)、手元で供養できる、などといった選択肢が残されているため、将来的にご自身や家族の意向が変わっても対応できます。
樹木葬の主な形状
樹木葬とは、一体どのような見た目が多いのでしょうか。
先ほど説明した「骨壷が最初から残らないタイプ」と「骨壷が何年間か残るタイプ」
この2つタイプのお墓の形状を見ていきましょう。
- 都市型、公園型
目印となる樹木(シンボルツリー)の周りに埋蔵します。このタイプの樹木葬にはひとりに対して1本の樹木を植える場合と、1本の樹木を植えた区画に複数のご遺骨を埋蔵する場合があります。
- ガーデニング型
霊園や納骨堂内に植物を植え、草花に囲まれた場所に埋蔵するスタイルです。手入れされた植栽で見た目もお墓っぽくない印象です。
- 里山型
都市部から離れた山林などの広い場所で埋蔵するスタイルです。より自然に近い樹木葬の形です。
樹木葬のメリット
ここまで「樹木葬とはあいまいである」とご紹介してきましたが、実はこのあいまいさが樹木葬の最大のメリットにもなっています。
いったいどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
メリット1. 消費者のニーズに応えられる
「あいまいである」ということは、言い換えれば「自由である」ということです。つまり、各霊園やお寺がさまざまな埋蔵方法やサービスを提供できることで、消費者は自分や家族に一番合った樹木葬を購入することができます。
メリット2. 費用が安い
一般的なお墓とは違い、樹木葬は見た目も形状も自由です。種類によっては高額な石材(墓石)を使用しない場合も多く、価格面でも一般墓より費用が抑えられる傾向にあります。
- 一般墓相場=130万円~180万円
- 樹木葬相場=50万円~100万円
メリット3. 跡継ぎの心配がいらない
樹木葬は近年できた新しい供養方法です。近年は核家族化が進むに連れてお墓離れする人が多くなり、そんななかできたのが樹木葬です。そのため後継ぎを必要としない供養形態をしているタイプがほとんどで、役割としては永代供養墓や合祀墓と同じような供養形態が多いようです。
メリット4. ペットと一緒に入れるところが多い
近年では一般のお墓でもペットと一緒に入れるところは多くなっていますが、樹木葬は特に多い傾向にあります。ペットを飼っている方にとってはうれしいサービスですね。
樹木葬のデメリット
メリットがあればもちろんデメリットもあります。あとで後悔しないためにもしっかりと確認しておきましょう。
デメリット.1 霊園やお寺によってルールが異なる
何度もご説明しているように樹木葬は定義があいまいなため、霊園やお寺によって埋蔵方法やお墓の形状、供養方法などそれぞれ異なります。むしろ「同じものは二つとない」と考えてもいいでしょう。
1本の樹木に対し複数埋蔵するのか?1本に対し1体の埋蔵なのか?骨壷は残るのか?残らないのか?
樹木葬を探す際は1件1件、霊園やお寺にこのようなルールを事前に確認する必要があります。
デメリット.2 季節により見た目が変わる
シンボルである木や草花が1年中きれいに咲き続けるとは限りません。
「せっかくお墓参りに来たのに木が枯れている・・・」
「1年のうち1~2か月しか咲いてない・・・」
樹木葬には木の種類の規定もないため、使用している樹木によってはこのようなことも考えられます。
デメリット3. お線香があげられないことも
より自然に近い形の場所であれば火気厳禁、すなわちお線香禁止のところもあります。特に里山型の樹木葬では多く見られ、お供え物もなし、お線香もなしでお墓参りしなければいけないこともあるそうです。
まとめ
いかがでしたか。
樹木葬とは定義や規定があいまいである。
この「あいまいである」ということを知ることが大切なのです。「樹木葬とはこういうものだ!」と一方的な固定概念で購入してしまい「あとで後悔した」では遅いからです。そして、樹木葬はこの、「あいまいである」ということが、逆に霊園やお寺が消費者に対しさまざまなサービスを提供できるため、ひとりひとりのニーズに応えられる大きなメリットにもなっているともいえます。
今回この記事でご紹介した内容は
- 樹木葬の定義はあいまいである。
- 科学的には自然に還らない
- 樹木葬で注意すべき2つの埋蔵方法
- あいまいさが最大のメリット
- 霊園やお寺によってルールが異なる
いまあなたが、樹木葬の購入をお考えなら、その霊園やお寺が定めているルール、供養内容を必ず調べてください。そして、ほんとうにあなたや家族にとって一番幸せなお墓かどうかしっかりと見極めてください。
この記事が少しでもあなたのエンディングライフに役立つことを願っています。
(株)太平洋福祉はお墓づくりから霊園の管理運営までおこなうお墓のスペシャリストです。お墓のことならなんでもご相談ください。